ハンドメイド帳簿の付け方|原価計算との連携
ハンドメイド販売の売上、材料費、送料、手数料の帳簿の付け方を整理。原価計算表と連携し、確定申告や価格見直しに使いやすくする方法を解説します。
この記事のポイント(読了 約8分)
- -売上、材料費、送料、手数料を分けて記録すると利益が見えやすくなる
- -原価計算表と帳簿をつなげると、確定申告と価格見直しの両方に使える
- -イベント販売とネット販売は記録項目を少し変えると管理しやすい
ハンドメイド帳簿は「税金のため」だけではない
ハンドメイド販売を続けていると、売れた金額は覚えていても、材料費や送料、販売手数料まで含めた利益は意外と見えにくくなります。
minneやCreema、BASEでは売上データを確認できますが、それだけでは「この作品はいくら残ったのか」「次回の価格を上げるべきか」までは判断しづらいものです。
帳簿というと確定申告のための難しい作業に感じますが、ハンドメイド作家にとっては価格設定を守るための記録でもあります。
特に、ネット販売で売れない時期に焦って値下げしてしまうと、後から委託販売やイベント出店を始めたときに、手数料や出店料を吸収できなくなることがあります。帳簿で利益の残り方を見ておくと、「なんとなく安くする」前に立ち止まりやすくなります。
まず分けたい4つの記録
ハンドメイド帳簿で最初に整理したいのは、売上、材料費、送料、手数料です。最初から完璧な会計ソフトのように作ろうとすると続きにくいので、まずはお金の動きが追える形を目指しましょう。
記録しておきたい基本項目は次の通りです。
- 販売日、販売先、作品名、販売価格
- 材料費、梱包資材費、制作数
- 送料、販売手数料、決済手数料
- 出店料、交通費、什器やPOPなどの販促費
- 入金日、実際に入金された金額
ポイントは、販売価格だけで終わらせないことです。
たとえば2,500円で売れた作品でも、材料費が600円、送料が250円、販売手数料が250円、梱包資材が80円かかっていれば、手元に残る金額は大きく変わります。さらに制作時間まで考えると、価格の見直しが必要な場合もあります。
売上帳は販売先ごとに見る
minne、Creema、BASE、イベント販売を併用している場合、売上は販売先ごとに分けて見られるようにしておくと便利です。
同じ作品でも、ネット販売では販売手数料や送料設定が影響し、イベント販売では出店料や交通費、什器代が関わります。販売先をまとめてしまうと、どこで利益が出ているのかがぼやけます。
たとえばイベントでは、手に取りやすい価格の商品がきっかけになって、その場で利益率の高い作品も一緒に見てもらえることがあります。小さな商品はPOPで遠くからでも見えるようにしたり、ショップカードを取りやすい位置に置いたりする工夫も、売上につながる活動です。
こうしたPOP、袋、ショップカード、ディスプレイ用品は、単なる飾りではなく販売のための経費です。帳簿に残しておくことで、イベント後に「出店してよかったか」を感覚ではなく数字で振り返れます。
材料費は原価計算表で細かく、帳簿では集計しやすく
ハンドメイド原価計算表と帳簿は、同じものではありません。
原価計算表は、作品1点あたりの原価を出すための表です。布、金具、レジン、ビーズ、台紙、梱包資材などを細かく分けて、1点作るのにいくらかかったかを確認します。
一方で帳簿は、実際に買った材料や資材の支出を記録するものです。10個入りのパーツを買ったら、帳簿には購入金額を記録し、原価計算表では1個あたりの単価に分けて使います。
この2つをつなげるには、作品名や品番をそろえるのがおすすめです。
「淡水パールピアスA」「刺繍ブローチM」など、作品名が帳簿と原価計算表で一致していると、売れた後に利益を追いやすくなります。商品数が増えてきた場合は、作品ごとに管理番号をつけるとさらに楽になります。
送料と手数料は「あとで引かれるお金」として見る
ハンドメイド販売で見落としやすいのが、送料と手数料です。
特にネットショップでは、販売価格が入金額と一致しません。販売手数料、決済手数料、振込手数料、送料負担の有無によって、実際に残る金額は変わります。
送料込み価格にしている場合は、送料も価格の中から出ていくお金です。お客様にはわかりやすい一方で、作家側の利益は減ります。帳簿では、送料を「売上から差し引かれるもの」として別に記録しておくと、価格設定の見直しがしやすくなります。
また、複数のモールに出店している場合は、手数料率や入金サイクルがそれぞれ違います。あまり多くの販売先に広げすぎると、帳簿や在庫の管理が一気に複雑になります。商品数が少ないうちは、無理に広げず、管理できる範囲で販売先を選ぶことも大切です。
経費管理で迷いやすいもの
ハンドメイド経費管理では、「これは経費にしていいのかな」と迷うものがよくあります。基本的には、販売や制作のために使った費用かどうかで考えます。
たとえば次のようなものは、事業に使っている部分を記録しておく候補になります。
- 材料、パーツ、布、糸、金具、塗料
- 梱包資材、台紙、ショップカード、ロゴ入り袋
- 撮影小物、背景紙、照明
- イベント出店料、交通費、什器、POP
- 販売サイトの手数料、決済手数料、振込手数料
- 送料、配送資材、宛名ラベル
- 広告費、SNSキャンペーン用のおまけ
たとえば、SNSフォローのお礼として商品を1つおまけする場合、それも販売促進の一部です。どのキャンペーンで、何を、いくつ使ったのかを残しておくと、後から効果を振り返れます。
ただし、プライベートと共用しているものは、全額ではなく事業に使った分だけ考える必要があります。税務上の判断に迷う場合は、税理士や公的な相談窓口に確認するのが安心です。
月1回の見直しで価格に戻す
帳簿は、毎日完璧に付けるよりも、月1回でも続けることが大事です。
月末に売上、材料費、送料、手数料、その他経費をまとめるだけでも、かなり見えるものが変わります。特に確認したいのは、売れているのに利益が少ない作品です。
「よく売れるから大丈夫」と思っていた作品でも、材料費が上がっていたり、梱包を丁寧にしたことで資材費が増えていたりすることがあります。イベント用にPOPや袋を整えた場合も、その費用が価格に反映できているかを見直したいところです。
月1回の見直しでは、次の流れにすると続けやすくなります。
- 販売先ごとの売上を確認する
- 材料費と梱包資材費を入力する
- 送料と手数料を分けて記録する
- 利益が少ない作品を確認する
- 原価計算表の単価を更新する
- 次回販売価格を見直す
値上げは勇気がいりますが、数字を見ながら考えると「なんとなく高くする」ではなく「続けるために必要な価格」として説明しやすくなります。
原価計算表と帳簿を連携するコツ
原価計算表と帳簿を連携するときは、複雑な仕組みを作るより、同じ言葉で管理することを意識しましょう。
作品名、販売先、販売日、販売価格、1点あたり原価、送料、手数料、利益。このあたりがそろっていれば、確定申告の準備だけでなく、価格見直しにも使えます。
たとえば、原価計算表で「材料費が1点あたり780円」と出ている作品が、帳簿上では販売手数料や送料を引いたあとにあまり利益が残っていないとします。その場合、見直すべきなのは販売価格かもしれませんし、送料設定や販売先かもしれません。
また、利益率重視の商品と、知ってもらうきっかけになる手に取りやすい商品を分けて考えるのも有効です。すべての商品で同じ利益率を目指す必要はありません。ただし、入口商品ばかり増えると疲れてしまうので、帳簿で全体のバランスを見ることが大切です。
確定申告前に慌てないために
確定申告の時期にまとめて帳簿を作ろうとすると、レシートの内容を思い出せなかったり、販売サイトごとの手数料を探し直したりして時間がかかります。
できれば、レシートや領収書は月ごとに分け、ネット購入の明細も保存しておきましょう。スマホで撮影しておくだけでも、後から確認しやすくなります。
帳簿をつける目的は、きれいな表を作ることではありません。自分の制作と販売が、無理なく続けられる形になっているかを確認することです。
売上が増えているのに手元にお金が残らない。イベントでは忙しかったのに、出店料や交通費を引くと赤字だった。そうしたことに早めに気づければ、価格、販売先、商品構成を見直せます。
ハンドメイド帳簿は、確定申告のための記録であり、作家活動を続けるための地図でもあります。原価計算表と合わせて使えば、価格を決めるときの不安も少しずつ減らせます。
自分の作品価格が材料費、送料、手数料を含めて無理のない設定になっているか確認したい方は、ねだんナビの価格診断ページで一度チェックしてみてください。
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