「ねだんナビ」を作った理由——過去の自分に届けたかったツール
価格設定に悩み続けたハンドメイド作家が、同じ悩みを持つ仲間のために「ねだんナビ」を作った理由。正解ではなく安心を届けるツールの誕生秘話。
ハンドメイド作家として活動してきた中で、ずっと心の中にあった違和感がありました。
作品を作るのは大好き。「かわいい!」「欲しい!」と言ってもらえるのも、もちろん嬉しい。でも、いざ値段をつける段になると、途端に自信がなくなる。
「この値段でいいのかな?」 「高いと思われないかな?」 「安くしたほうが、売れるかな?」
——そんな問いが、いつも頭の中をぐるぐるしていました。
材料費は分かる。でも、手間や時間、デザインの価値ってどう計算すればいいの?そして、ちょっと勇気を出して値上げしてみると、「高いね」と言われてしまったりする。それだけで、心がしぼんでしまう。
そんな経験を、何度も繰り返してきました。
「あなただけじゃないよ」と伝えたかった
ある日、同じように活動しているハンドメイド作家さんと話をしていたとき、「価格のことになると、自信がなくなる」という言葉を聞きました。
それを聞いた瞬間、胸がギュッとなったのを覚えています。
自分だけじゃなかったんだ。みんな、あの不安や孤独を抱えながらも、なんとかやりくりしていたんだ。
でも、それってすごくもったいないことだと思いました。好きで始めたはずの創作活動が、「値段のことで悩みすぎて疲れる」なんて、本末転倒です。
だから私は決めました。「価格に迷ったときに、そっと背中を押してくれるようなツールを作ろう」と。
正解を出すツールではなく、"安心"を届けるために
「ねだんナビ」は、価格の"正解"を出すツールではありません。AIを使って類似商品の価格を分析し、「このジャンル・素材・雰囲気なら、このくらいの価格帯が多いですよ」という目安を提示するツールです。
でも、それが大事なんです。
なぜなら、価格で迷っている人が本当に求めているのは、「絶対にこの価格にすべき」という命令ではなく、「このくらいなら、自信を持って出しても大丈夫」という安心感だからです。
「損しない範囲が分かる」 「自分の価格が、大きくズレていないことが分かる」
それだけで、人はすごく落ち着ける。値段にまつわる迷いの霧が、少しずつ晴れていくのです。
続けてほしいから、作りました
「好きなことで生きていく」という言葉は、簡単に使われがちです。でも実際には、好きだからこそ苦しくなる瞬間があります。特に、金額や価値という"数字"に直面するとき、その苦しさは一層深くなります。
だからこそ、私は言いたいのです。
あなたの作品には、ちゃんと価値があります。あなたの時間も、手間も、経験も、すべて大切です。それらを"安売り"しないで済むように、そして、ちゃんと納得して価格をつけられるように、「ねだんナビ」を作りました。
過去の自分に渡したかったツール
このツールは、かつての自分に向けて作ったものです。
「値段って、どうやって決めればいいの?」 「こんな価格で出していいのかな?」 「誰かに、高いって言われるのが怖い…」
そんなふうに悩んでいた頃の私に、「だいじょうぶだよ」「あなたの価格はおかしくないよ」ってそっと声をかけてあげたかった。
もちろん、今悩んでいるあなたにも。
最後に:迷うのは、ちゃんと向き合っている証拠
価格で迷うのは、それだけ真剣に、自分の作品と向き合っているからです。悩むこと自体が悪いのではなくて、その悩みを"孤独に抱えたまま"にしてしまうことが、一番つらい。
「ねだんナビ」が、そんなときにそっと寄り添える存在になれたら。ちょっとだけ心が軽くなって、「また作ろう」と思えるようになったら。
それが、私がこのプロダクトを作った理由です。
あなたの創作が、長く続きますように。そして、その価値が、きちんと報われますように。
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