「あのとき、安く売ったことを今も後悔してる」—ある作家の話
初めてのイベントで安く売ってしまった経験から学んだ、価格設定の大切さ。他人の言葉に揺らされず、自分の基準を持つことの重要性を語ります。
この記事のポイント(読了 約4分)
- -他人の言葉で価格を下げると後悔が残る
- -自分なりの価格基準を持つことが大切
- -納得できる価格が心の安定につながる
これは、あるハンドメイド作家さんの話。
……いや、もしかしたら、昔の私自身の話かもしれません。
「すごく可愛い!これ、〇〇円だったら欲しいな〜」
初めてイベントに出店した日。 朝から緊張しながらディスプレイを並べて、手が震えるような気持ちでお客さんを待っていた私。
ようやくブースの前に立ち止まってくれたお客さんが、作品を手に取り、言ったのがこのひとことでした。
「これ、すごく可愛い!……〇〇円くらいだったら、絶対買うのにな〜」
当時の私は、それが軽口だとも思わず、心にぐさりと突き刺さってしまって、 その場で価格を書き換えてしまったのです。
まさに、その価格に。
売れた。けど、何も嬉しくなかった。
結果として、その作品は売れました。 安くしたことで、「これください!」と言ってもらえた。
でも、家に帰って、売上を計算したときに、 「……あれ? 原価引いたら、利益ってほとんどないな」 と気づいた瞬間、嬉しさはどこかへ消えてしまいました。
あんなに時間をかけて作ったのに、 パーツの選定にもこだわって、写真だって何度も撮り直したのに、 結局、自分の時間も気持ちも"無料"で差し出したような気持ちになってしまったのです。
「あのとき、断ってもよかったのかもしれない」
あの時の私に、今なら言ってあげたいです。
「そのままの価格でよかったんだよ」 「その人が買わなくても、あなたの作品を好きになってくれる人はいたよ」
でも、当時はそんなふうに思えなかった。 一つでも売れたかったし、誰かに喜んでもらいたかった。
ただ、やっぱり思うのです。 "あの価格"で売ったことを、今もどこかで引きずっている。 あれをきっかけに、「下げれば売れる」「高いと売れない」という思い込みが染みついてしまったからです。
自分の"基準"を持つということ
それ以来、私は少しずつ、自分なりの価格の付け方を模索してきました。
- 材料費に加えて、制作時間を時給換算する
- 同ジャンルの作家さんの価格帯を参考にする
- でも、最終的には「この価格でなら、自信を持って送り出せるか?」で決める
何より大事なのは、「誰かの言葉で、価格を揺らされないこと」。
それが、自分自身を守ることだと気づいたのです。
ねだんナビをつくった理由
価格で悩んだり、他人の言葉に傷ついたり、 売れたのに虚しさが残ったり——そんな経験をたくさんしてきたからこそ、 「同じ思いをする人を少しでも減らしたい」と思いました。
だから私は「ねだんナビ」を作りました。
これは、価格の"正解"を出すツールではありません。 でも、あなたの価格が「まったくズレていないこと」や、 「このジャンルならこのくらいの目安」という"安心"は得られます。
それだけでも、だいぶ違うんです。
他人の一言に揺れる前に、自分の中にある"判断材料"を持っておける。 それは、あなたの心の安定につながります。
あなたが後悔しない価格を。
この記事は、昔の自分に向けて書いた手紙のようなものです。
あのとき、ちゃんと「この価格が自分にとって納得できる」と思えていたら、 売れたときにもっと嬉しかったかもしれない。
もちろん、値下げが悪いわけではありません。 でも、それが「誰かの言葉に合わせて決めた価格」なら、 あとでじわじわ後悔がやってくるかもしれない。
あなたの作品は、あなたが納得できる価格で、売っていいんです。
今日もまた、作品を大切に届ける作家さんの背中を、 そっと押せますように。
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