ハンドメイド作品の送料、誰が負担する?設定パターン別の損益比較
送料込み・送料別・一律送料、それぞれの設定で利益はどう変わる?具体的な試算とともに、購入者の心理と作家の利益を両立する送料設定の考え方を解説します。
この記事のポイント(読了 約8分)
- -送料込み・送料別・一律送料の3パターンで利益を具体試算
- -購入者が「送料」に感じる心理的ハードルを理解する
- -自分の商品特性に合った送料設定の選び方がわかる
送料の扱いひとつで、利益が数百円変わる
ハンドメイド作品をネットショップで販売するとき、意外と悩むのが送料の設定です。送料込みにするか、送料別にするか、それとも一律料金にするか。なんとなく周りに合わせて決めている方も多いのではないでしょうか。
でも実は、送料の設定パターンによって1件あたりの利益が数百円単位で変わることがあります。月に20件売れる作家さんなら、年間で数万円の差になる計算です。
この記事では、3つの送料パターンそれぞれの損益を具体的に試算しながら、自分の商品に合った設定の考え方を整理していきます。
3つの送料パターンを整理する
まず、ネットショップでよく見かける送料の設定パターンを確認しておきます。
- 送料込み(商品価格に送料を含める)
- 送料別(実費または固定額を購入者に請求)
- 一律送料(全国どこでも同じ金額を設定)
どれが正解ということはなく、商品の特性や価格帯、販売するプラットフォームの傾向によって向き不向きがあります。
同じ作品で3パターンを試算してみる
ここでは、ある作品を例に具体的な数字で比較してみます。
作品の条件は次のとおりです。原価800円、希望利益1,000円、実際の送料が全国平均で約400円(ネコポスやクリックポストを想定)、プラットフォーム手数料は販売価格の10%とします。
まず送料込みの場合。商品価格を2,200円に設定し、送料は0円表記です。手数料は2,200円の10%で220円。ここから原価800円と実送料400円を引くと、手元に残る利益は780円になります。
次に送料別の場合。商品価格を1,800円、送料を400円と表記します。手数料は多くのプラットフォームで商品価格に対してかかるため、1,800円の10%で180円。原価800円と送料400円を引くと、利益は420円です。ただし、送料を購入者負担にする場合は送料分を商品価格に含めないため、商品価格を1,800円のまま据え置くなら利益は420円。もし商品価格を2,000円に設定できるなら、手数料200円を引いて利益は600円になります。
最後に一律送料の場合。商品価格を1,800円、一律送料を300円に設定したとします。手数料は1,800円の10%で180円。実送料が400円なら送料の差額100円を作家が負担することになり、利益は720円。逆に近距離で実送料が200円の場合は、差額100円がプラスになって利益は920円です。
こうして並べると、同じ作品でも送料の設定ひとつで利益に200〜300円の差が出ることがわかります。
購入者から見た「送料」の心理
数字だけで判断すると送料込みが一番シンプルに見えますが、購入者の心理も考える必要があります。
ネットで買い物をするとき、多くの人は「送料無料」や「送料込み」の文字に安心感を覚えます。カートに入れた後で送料が加算されて合計金額が上がると、そこで購入をやめてしまう人は少なくありません。これは「カート落ち」と呼ばれる現象で、ECの世界では古くから知られている課題です。
一方で、商品単価が1,000円以下のような手に取りやすい価格帯の場合、送料込みにすると商品価格自体が割高に見えてしまうことがあります。たとえば、原価の低いステッカーやミニアクセサリーを500円で売りたいのに、送料込みで900円と表記すると「この商品に900円?」と思われてしまうわけです。
商品の価格帯が高めなら送料込みにして総額のわかりやすさを優先する、低めなら送料別にして商品価格のお手頃感を見せる、という使い分けが基本的な考え方になります。
利益率重視の商品と集客用の商品で分ける
ここでひとつ、実践的な考え方を紹介します。
ショップ運営がうまくいっている作家さんの多くは、しっかり利益を取る商品と、まず手に取ってもらうための商品を分けて考えています。利益率重視の主力商品は送料込みで価格を設定し、総額のわかりやすさで購入を後押しする。一方、知ってもらうきっかけになる低価格の商品は送料別にして、商品そのものの価格を抑える。
この考え方は送料設定にもそのまま応用できます。すべての商品を同じ送料パターンにする必要はありません。商品ごとに役割を意識して、送料の見せ方を変えてみてください。
一律送料という「間を取る」選択肢
送料込みと送料別のどちらにも踏み切れないとき、一律送料は現実的な落としどころになります。
たとえば「全国一律300円」と設定しておけば、購入者にとっては事前に総額がわかりやすく、作家にとっては近距離の注文で多少のプラスが出ます。遠方の注文では差額を負担することになりますが、販売件数が増えればトータルではならされていきます。
注意したいのは、一律送料の金額設定です。実送料の平均よりやや低めに設定すると購入者には喜ばれますが、遠方からの注文が多い場合は赤字が積み重なります。過去の注文データがあれば、発送先の地域分布を確認してから金額を決めるのが安全です。
送料で安売りのクセがつくと後が大変
ネットショップで思うように売れないとき、つい送料を下げたり無料にしたりして「お得感」を出そうとすることがあります。でも、送料を無理に吸収して商品価格を低く抑えてしまうと、後から委託販売やイベント出店をする際に手数料や出店料を上乗せする余地がなくなります。
最初に安く設定しすぎると、そこが基準になってしまい、適正な価格に戻すのが難しくなる。これは送料に限らず、ハンドメイド作品の価格設定全体に言えることです。送料も含めた「総額」で利益が確保できているかを、定期的に見直す習慣をつけておくと安心です。
自分の商品に合った送料設定を見つけるために
送料設定に唯一の正解はありません。ただ、感覚で決めるのではなく、実際に数字を入れて試算してみるだけで判断の精度はかなり上がります。
今回の例のように、原価・希望利益・実送料・手数料を並べて計算するのは、紙とペンがあればできることです。もし計算が面倒だったり、手数料率がプラットフォームごとに違って混乱するようであれば、ねだんナビの価格シミュレーション機能で送料を含めた利益計算を試してみてください。
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