デザフェス売上平均と回収ライン
デザフェス出展で出展料を回収するには何個売ればいいのか。客単価、原価率、販売数から黒字ラインを計算し、自分の作品価格に合う目標を考えます。
この記事のポイント(読了 約8分)
- -デザフェスの平均売上だけを目標にすると、自分の作品単価と合わないことがある
- -出展料を回収するには、売上ではなく粗利で考える必要がある
- -客単価、原価率、販売数を分けて見ると、現実的な黒字ラインが決めやすい
デザフェスの売上平均は参考程度に見る
デザインフェスタに出る前に、多くの作家さんが気になるのが「みんなどのくらい売れているの?」ということです。
SNSで「デザフェス 売上 平均」と検索すると、数万円だったという声もあれば、十万円以上売れたという声もあります。中には過去最高売上を投稿している人もいて、自分もそのくらいを目指したほうがいいのかなと感じるかもしれません。
ただ、デザフェスの売上平均はかなり幅があります。アクセサリー、布小物、イラスト、ぬいぐるみ、陶器、服飾雑貨では客単価がまったく違います。さらに、初出展かリピーターがいるか、SNSで告知できているか、ブースの場所や見せ方によっても変わります。
大切なのは、平均売上をそのまま目標にすることではありません。自分の作品価格で、出展料や交通費、材料費を回収するには何個売ればいいのかを知ることです。
まずは回収したい費用を出す
デザフェスで黒字を考えるときは、売上だけではなく「固定費」と「原価」を分けて考えます。
固定費は、売れても売れなくても出ていく費用です。たとえば出展料、交通費、宿泊費、什器、ポップ、袋、ショップカードなどが入ります。什器や備品は次回も使えるものもありますが、初出展ではまとまった金額になりやすい部分です。
例として、次のように考えてみます。
- 出展料: 18,000円
- 交通費: 8,000円
- 什器・ディスプレイ: 6,000円
- 袋・ショップカード・ポップ: 3,000円
- 合計固定費: 35,000円
この場合、まず回収したいラインは35,000円です。ただし、売上が35,000円になれば黒字という意味ではありません。作品には材料費や梱包費がかかるため、売上の一部しか利益として残らないからです。
売上ではなく粗利で回収する
出展料を回収するには、売上ではなく粗利を見る必要があります。
粗利は、販売価格から原価を引いた金額です。たとえば3,000円の作品を売って、材料費や台紙、袋などの原価が900円なら、粗利は2,100円です。原価率でいうと30%です。
計算式はシンプルです。
販売価格 × (1 - 原価率) = 1個あたりの粗利
3,000円 × (1 - 0.3) = 2,100円
固定費が35,000円なら、35,000円を2,100円で割ります。
35,000円 ÷ 2,100円 = 約16.7
つまり、客単価3,000円、原価率30%なら、17個売れれば固定費の回収ラインに届きます。ここからさらに利益を残したいなら、18個目以降が本格的な黒字になります。
客単価別の回収ライン
同じ固定費35,000円でも、客単価が変わると必要な販売数は大きく変わります。ここでは原価率30%として見てみます。
| 客単価 | 1人あたり粗利 | 回収に必要な購入人数 |
|---|---|---|
| 1,000円 | 700円 | 50人 |
| 1,500円 | 1,050円 | 34人 |
| 2,000円 | 1,400円 | 25人 |
| 3,000円 | 2,100円 | 17人 |
| 5,000円 | 3,500円 | 10人 |
低単価の商品は手に取ってもらいやすい反面、出展料を回収するにはたくさん売る必要があります。高単価の商品は少ない販売数でも回収しやすいですが、購入までのハードルは上がります。
ここで考えたいのは、単価を上げるか下げるかだけではありません。利益率重視の商品と、知ってもらうきっかけになる手に取りやすい商品を両方用意することです。ステッカーやミニアイテムのような入口商品があると、初めての人にも見てもらいやすくなります。一方で、利益を支える主力商品も必要です。
「何個売るか」は客数とセットで考える
デザフェスで「何個売るか」を考えるときは、販売数だけでなく購入人数も見ます。
たとえば1,500円の商品を34個売る必要がある場合、34人が1個ずつ買ってくれれば達成です。でも、1人が2点買ってくれるなら、必要な購入人数は17人になります。セット買い、色違い買い、プレゼント用の追加購入が起きると、回収ラインはぐっと近づきます。
そのため、価格設定では単品価格だけでなく、組み合わせやすさも大切です。ピアスとリング、ステッカーとポストカード、チャームとポーチなど、自然に一緒に選べる商品があると客単価を上げやすくなります。
ただし、無理にまとめ売りを押す必要はありません。見やすい価格帯を用意して、お客さんが自分で選びやすい状態にするほうが、イベントでは気持ちよく買ってもらいやすいです。
ブースの見え方で販売数は変わる
計算上は「17人に買ってもらえば回収」とわかっても、実際にはブースに立ち止まってもらわなければ購入にはつながりません。
イベントでは、遠くから見て何のブースかわからないと、お客さんは近寄りにくくなります。小さい作品が多い場合は、ポップや高さのある什器で遠くからでも雰囲気が伝わるようにすると、足を止めてもらいやすくなります。
作家さんの体験談でも、「お客さんがどこから見ても何かしらの商品と目が合うように置く」「目立つポップやキャラクターのポップを置く」といった工夫はよく聞きます。人が少し集まると、周りの人も「何のブースだろう」と気になって見てくれることがあります。
一方で、人がたまりすぎて商品が見えないと、近づくのを諦めてしまう人もいます。通路側から主力商品が見えること、手に取りやすい位置に小物やショップカードがあることは、売上に直結しやすいポイントです。
袋やショップカードも回収ラインに関係する
袋やショップカードは小さな費用に見えますが、イベント後の売上につながる大事な導線です。
ロゴやショップ名を入れた袋は、会場内で持ち歩かれるだけでも宣伝になります。帰宅後に作品を見返したとき、ショップ名を思い出してもらいやすいのも利点です。ショップカードは、購入者だけでなく迷っている人にも手に取ってもらえる位置に置いておくと、後日のminne、Creema、BASEでの購入につながることがあります。
イベント当日の黒字だけを見ると、紙ものや袋の費用は削りたくなるかもしれません。でも、デザフェスはその場の売上だけでなく、認知を増やす場でもあります。SNSフォローで小さなおまけをつけるなど、次につながる仕組みを少し入れておくと、回収ラインの考え方も広がります。
黒字ラインを決める簡単な手順
出展前に、次の順番で数字を出しておくと安心です。
- 出展料、交通費、什器、袋などの固定費を合計する
- 主力商品の平均客単価を決める
- 材料費、梱包費を含めた原価率を出す
- 客単価 × (1 - 原価率) で粗利を計算する
- 固定費 ÷ 粗利で必要な販売数を出す
- 入口商品と主力商品の役割を分ける
- 当日の目標を「売上」だけでなく「購入人数」と「客単価」で見る
この計算をしておくと、「今日はあと何個売れたら回収できるか」がわかります。焦って値下げする前に、あと何人に見てもらえば届きそうか、客単価を上げる組み合わせはあるかを考えやすくなります。
平均より自分の黒字ラインを見る
デザフェスの平均売上は気になりますが、平均はあくまで他の人の条件で出た数字です。自分の作品価格、原価率、固定費、販売スタイルに合っていなければ、目標としてはズレてしまいます。
低単価でたくさん売る作家さんもいれば、高単価で少人数にしっかり届ける作家さんもいます。どちらが正解というより、自分の作品に合った回収ラインを知っておくことが大切です。
出展前に「何円売れたら安心か」ではなく、「何人に、どの価格帯を、何個届ければ黒字に近づくか」まで分解しておくと、当日の判断がしやすくなります。
デザフェス出展前に作品ごとの原価率や黒字ラインを整理したいときは、ねだんナビの価格診断ページで販売価格の目安を確認できます。
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