委託販売の納品価格計算
委託販売で納品価格を決めるときの考え方を解説。手数料30%、40%、50%で手取りがどう変わるかを比較し、利益を残す価格設定を整理します。
この記事のポイント(読了 約8分)
- -委託販売では販売価格から手数料を引いた金額が作家の手取りになる
- -手数料30%、40%、50%では同じ販売価格でも残る利益が大きく変わる
- -原価と利益を先に決めてから納品価格を考えると値付けが安定しやすい
委託販売の納品価格は「手取り」から考える
委託販売を始めるとき、多くの作家さんが迷うのが納品価格です。
minneやCreema、BASEでは自分で販売価格を決め、販売手数料や送料を見ながら利益を計算します。一方で委託販売では、店舗やギャラリーに作品を預け、売れたときに販売価格から委託手数料が差し引かれます。
つまり、店頭でお客様が支払う価格と、作家の手元に残る金額は同じではありません。
たとえば3,000円で販売しても、手数料が30%なら手取りは2,100円、50%なら1,500円です。ここから材料費、梱包費、台紙、タグ、納品時の送料や交通費などを考えると、思ったより利益が少ないことがあります。
委託販売の価格設定では「いくらで売れそうか」だけでなく、「売れたあと自分にいくら残るか」を先に確認することが大切です。
基本の計算式
委託販売の手取りは、次の式で考えます。
販売価格 ×(1 - 委託手数料率)= 作家の手取り
たとえば販売価格が4,000円、委託手数料が40%の場合は、
4,000円 × 60% = 2,400円
この2,400円が作家の手取りです。ここから原価を引いたものが利益になります。
手取り - 原価 = 利益
原価には材料費だけでなく、作品に直接かかっている費用も含めて考えると現実に近くなります。アクセサリーなら金具、ビーズ、レジン液、台紙、OPP袋、箱、ショップカードなど。布小物なら生地、糸、接着芯、タグ、袋などです。
委託販売では店舗に作品を送る送料や、納品に行く交通費がかかることもあります。1点ごとに細かく割り切れなくても、ざっくり配分しておくと「売れたのに残らない」を避けやすくなります。
手数料30%、40%、50%の手取り比較
同じ販売価格でも、委託手数料によって作家の手取りは変わります。まずは販売価格別に見てみましょう。
| 店頭販売価格 | 手数料30%の手取り | 手数料40%の手取り | 手数料50%の手取り |
|---|---|---|---|
| 1,500円 | 1,050円 | 900円 | 750円 |
| 2,000円 | 1,400円 | 1,200円 | 1,000円 |
| 3,000円 | 2,100円 | 1,800円 | 1,500円 |
| 4,000円 | 2,800円 | 2,400円 | 2,000円 |
| 5,000円 | 3,500円 | 3,000円 | 2,500円 |
| 8,000円 | 5,600円 | 4,800円 | 4,000円 |
手数料30%なら、作家の手元には販売価格の70%が残ります。委託販売としては比較的計算しやすい水準です。
手数料40%になると、販売価格の60%が手取りです。材料費が高い作品や制作時間が長い作品では、利益がかなり圧迫されることがあります。
手数料50%では、販売価格の半分が手取りです。店舗側の集客力が高い、ブランドイメージに合う、リピーターにつながるなどのメリットがある場合は選択肢になりますが、価格をネット販売と同じままにすると利益が残りにくくなります。
原価を入れて利益を見てみる
手取りだけを見ると、3,000円の作品で手数料30%なら2,100円残るので十分に感じるかもしれません。
でも、原価が1,000円かかっている場合はどうでしょうか。
| 店頭販売価格 | 手数料 | 手取り | 原価 | 利益 |
|---|---|---|---|---|
| 3,000円 | 30% | 2,100円 | 1,000円 | 1,100円 |
| 3,000円 | 40% | 1,800円 | 1,000円 | 800円 |
| 3,000円 | 50% | 1,500円 | 1,000円 | 500円 |
手数料が50%になると、利益は500円です。制作時間が1時間なら時給500円、2時間なら時給250円のような感覚になります。
もちろん、ハンドメイド作品の価値は時給だけで決まるものではありません。デザイン、技術、世界観、ファンとの関係性も価格に含まれます。ただ、利益が少なすぎる状態が続くと、新しい材料を買う、撮影を整える、イベントに出るといった次の活動が苦しくなります。
「売れたらうれしいけれど、売れるほど疲れてしまう」価格になっていないかは、委託販売前に一度確認しておきたいところです。
必要な販売価格から逆算する
委託販売では、先に「最低いくら手元に残したいか」を決めてから販売価格を逆算する方法もあります。
計算式は次の通りです。
必要な手取り ÷(1 - 手数料率)= 必要な販売価格
たとえば、原価1,000円の作品で、利益を1,500円残したいとします。この場合、必要な手取りは2,500円です。
| 手数料 | 必要な手取り | 必要な販売価格 |
|---|---|---|
| 30% | 2,500円 | 約3,572円 |
| 40% | 2,500円 | 約4,167円 |
| 50% | 2,500円 | 5,000円 |
同じ利益を残したい場合でも、手数料30%なら約3,600円、手数料50%なら5,000円が目安になります。
ここで大切なのは、委託先に合わせて価格をただ上げることではありません。店頭でその価格に見合って見えるか、作品の見せ方や台紙、パッケージ、シリーズ構成まで含めて整えることです。
委託販売では、作品そのものだけでなく「棚に置かれたときの見え方」も価格の一部になります。
ネット販売価格と委託販売価格は同じでいい?
minne、Creema、BASEで販売している作家さんは、委託販売でも同じ価格にするべきか迷うことがあります。
基本的には、極端な価格差は避けたほうが安心です。お客様がネットショップと店頭の両方を見たときに、同じ作品の価格が大きく違うと不信感につながることがあるためです。
一方で、委託販売は手数料が高くなりやすいため、ネット販売とまったく同じ価格では利益が残らない場合もあります。
この場合は、次のような調整が考えられます。
- 委託販売用に仕様やセット内容を少し変える
- 店頭限定カラーや限定サイズにする
- 原価が低めで見栄えのする作品を委託向けに選ぶ
- 高単価作品と手に取りやすい作品を組み合わせる
- 委託先の客層に合う価格帯だけ納品する
ネットショップで売れないからといって安くしすぎると、後から委託販売に挑戦したときに手数料で苦しくなりがです。将来的に委託販売やイベント出店を考えているなら、最初から「手数料がかかっても続けられる価格」を意識しておくと、販売チャネルを広げやすくなります。
委託販売で利益を残しやすい作品選び
委託販売に出す作品は、すべて同じ利益率で考えなくても大丈夫です。
利益率を重視する作品と、知ってもらうきっかけになる手に取りやすい作品を分けると、売り場を作りやすくなります。
たとえば、メインのアクセサリーはしっかり利益を取る価格にしつつ、ステッカーや小さなチャームなどは入口商品として置く。すべてを自分で手作りするのではなく、一部を業者に依頼して単価を抑える方法もあります。
委託先では、遠くから見たときに何の作品かわかることも大切です。小さな作品ほど、台紙やPOPがないと棚の中で埋もれやすくなります。店頭では作家本人が説明できない時間も多いので、価格に納得してもらうための情報を、作品まわりで伝える必要があります。
素材、使い方、サイズ感、ギフト向けかどうか。こうした情報が見えるだけで、お客様は手に取りやすくなります。
納品価格を決める前の確認リスト
委託販売の条件は店舗ごとに違います。手数料率だけで判断せず、納品前に確認しておくと安心です。
- 委託手数料は何%か
- 消費税の扱いはどうなるか
- 振込手数料や事務手数料はあるか
- 返品や破損時の負担は誰が持つか
- 値下げ販売やセール参加のルールはあるか
- 納品時と返送時の送料は誰が負担するか
- 売上報告と入金のタイミングはいつか
- 店頭POPやショップカードを置けるか
特に、セール時の値下げルールは見落としやすいポイントです。委託先の判断で割引される場合、作家の手取りがどうなるのかは事前に確認しておきましょう。
ショップカードを置けるかも重要です。店頭で作品を知ってもらい、あとからSNSやネットショップに来てもらえる導線があると、委託販売がその場限りで終わりにくくなります。
手数料30%でも油断しない
「手数料30%なら大丈夫」と感じるかもしれませんが、原価が高い作品では注意が必要です。
たとえば販売価格2,000円、手数料30%の手取りは1,400円です。原価が900円なら利益は500円。ここに制作時間や納品の手間を考えると、思ったほど余裕はありません。
反対に、販売価格5,000円、原価1,200円、手数料40%なら手取りは3,000円、利益は1,800円です。手数料率だけを見ると40%は高く感じますが、作品単価と原価のバランスによっては十分に利益が残ることもあります。
委託販売では「手数料が何%か」だけでなく、「自分の作品価格と原価に対して成り立つか」を見ることが大切です。
まとめ
委託販売の納品価格は、販売価格から手数料を引いた手取りをもとに考えます。
手数料30%なら販売価格の70%、40%なら60%、50%なら50%が作家の手取りです。そこから原価を引いて、ようやく利益が見えてきます。
価格を決めるときは、次の順番で整理すると迷いにくくなります。
- 材料費や梱包費を含めた原価を出す
- 残したい利益を決める
- 必要な手取りを計算する
- 委託手数料から販売価格を逆算する
- 店頭でその価格に見合う見せ方を整える
委託販売は、作品を新しいお客様に届けられる魅力的な販売方法です。ただし、価格をなんとなく決めると、売れているのに利益が残らない状態になりがちです。
納品前に一度数字を出しておくことで、委託先との相性や出すべき作品も判断しやすくなります。
委託販売の手数料を入れた価格設定に迷ったら、ねだんナビの価格診断ページで原価と利益のバランスを確認してみてください。
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