他の作家の値段が気になるとき
他の作家の価格を見るたびに不安になるハンドメイド作家へ。比較疲れを減らし、相場と自分の価格を切り分けて考える視点を紹介します。
この記事のポイント(読了 約8分)
- -他の作家の価格が気になるのは、作品への本気度があるからこそ起きる自然な反応
- -相場は合わせるものではなく、自分の価格を確認するための材料として見る
- -価格の不安は、原価・時間・販売場所・見せ方を分けて考えると整理しやすい
他の作家の値段が気になるのは自然なこと
minneやCreema、BASEで販売していると、どうしても他の作家さんの価格が目に入ります。
「似た雰囲気なのに、あの人は私より安い」 「このクオリティでこの値段なら、私の作品は高すぎるかも」 「逆に、あの価格で売れているなら私も上げていいのかな」
そんなふうに考え始めると、作品づくりよりも価格チェックに気持ちを持っていかれてしまうことがあります。
でも、他の作家の値段が気になるのは、決して悪いことではありません。自分の作品をちゃんと届けたい、売れない理由を見逃したくない、価格で失敗したくない。そういう真剣さがあるからこそ、比較してしまうのだと思います。
問題は、比較することそのものではなく、比較したあとに自分の価格を全部否定してしまうことです。
比較疲れが起きる理由
ハンドメイド販売で価格を見るとき、私たちはつい「作品の見た目」だけで比べてしまいます。
同じアクセサリー、同じ布小物、同じキャンドル。同じジャンルに見えると、価格も同じくらいでなければいけないように感じます。
けれど実際には、価格の背景は作家ごとにかなり違います。
- 材料の仕入れ価格
- 制作にかかる時間
- 撮影や梱包にかけている手間
- minne・Creema・BASEなど販売場所ごとの手数料
- イベント出店費や交通費
- 委託販売の有無
- 本業か副業か
- 利益をどれくらい残したいか
表に出ているのは販売価格だけです。そこに至るまでの事情は、ほとんど見えません。
たとえばネットショップで売れないからと安くすると、あとで委託販売を始めたときに手数料を吸収できず苦しくなることがあります。イベント出店をする場合も、出店料や什器、袋、ショップカードなど、ネット販売とは違う費用がかかります。
見えている値段だけを見て「私も合わせなきゃ」と考えると、自分の販売条件を置き去りにしてしまうのです。
相場は答えではなく、地図として見る
相場を見ること自体は大切です。お客様がどの価格帯に慣れているのか、自分の作品がどの位置にあるのかを知る手がかりになるからです。
ただし、相場は「この金額にしなさい」という答えではありません。どちらかというと地図です。
自分の作品が、手に取りやすい価格帯なのか、ギフト向けの価格帯なのか、こだわりを伝える高めの価格帯なのか。その現在地を確認するために使います。
たとえば同じピアスでも、簡単なパーツを組み合わせたものと、刺繍やレジン、金属加工などで時間をかけたものでは、価格の意味が変わります。さらに、写真の見せ方や商品説明、ラッピング、ブランドの世界観によっても、お客様が受け取る価値は変わります。
安い作家さんを見つけたときは、「自分も下げるべきか」ではなく、まずこう考えてみてください。
「その価格で、私は続けられるだろうか」
続けられない価格なら、それは自分にとっての正解ではありません。
価格を見る前に、自分の基準を持つ
他の作家の値段を見るたびに不安になるときは、自分の中に価格の基準がまだ固まっていないのかもしれません。
基準がない状態で相場を見ると、安い作品を見るたびに揺れ、高い作品を見るたびに焦ります。まずは自分の価格を、感覚ではなく要素に分けて見てみましょう。
確認したいのは、次のような項目です。
- 材料費はいくらか
- 制作時間はどれくらいか
- 梱包材やショップカードの費用は入っているか
- 販売手数料や決済手数料を引いても利益が残るか
- 再販しても無理なく作れるか
- イベントや委託販売でも同じ価格で苦しくないか
ここまで見ると、「なんとなく高い気がする」「なんとなく安くしないと売れなさそう」という不安が、少し具体的になります。
価格の不安は、ぼんやりしているほど大きく見えます。数字に分けると、見直すべき場所が見えてきます。
安い作品には安い理由があることも多い
他の作家さんの価格が安いと、自分だけが高く見えることがあります。
でも、安い価格には理由がある場合もあります。材料をまとめて安く仕入れているのかもしれません。制作工程をかなり効率化しているのかもしれません。利益率よりも、まず知ってもらうための商品として置いているのかもしれません。
ハンドメイド販売では、すべての商品で同じ役割を持たせる必要はありません。
利益をしっかり残す作品と、初めてのお客様に手に取ってもらいやすい作品を分ける考え方もあります。たとえば、メイン作品は適正な利益を残しつつ、ステッカーや小さな雑貨などを入口商品として用意する方法です。すべてを手作業で作らず、一部は業者に依頼して制作コストを調整する選択肢もあります。
つまり、安い作品を見たときに見るべきなのは「価格」だけではありません。
その商品がショップ全体の中でどんな役割なのかを想像してみることです。
イベントでは価格以外の要素も大きい
マルシェやイベントに出ると、近くのブースの価格がさらに気になります。お客様が隣の作家さんの商品を手に取っていると、自分の値段が高いから通り過ぎられたのではないかと感じることもあります。
でもイベントでは、価格以外の要素も強く影響します。
遠くから見て何のブースか分かるか。小さい商品でもポップや配置で見つけやすくなっているか。お客様がどの方向から見ても商品と目が合うように並んでいるか。人が少し立ち止まることで、別のお客様が「何のブースだろう」と気になって近づくこともあります。
逆に、人が集まりすぎて商品が見えないと、遠くから諦められてしまうこともあります。価格だけでなく、見え方や導線も売れ行きに関わります。
作家同士のコミュニケーションも、価格不安をやわらげる助けになります。近くの作家さんと話しておくと、お互いに困ったときに助け合えたり、お客様との会話で「あの作家さんの作品もかわいいですよね」と自然に話題にできたりします。
比較相手に見えていた人が、同じ場を作る仲間になることもあります。
値下げの前に見直したいこと
他の作家より高く感じたとき、すぐに値下げを考える必要はありません。
先に見直したいのは、価格そのものより「伝わり方」です。
商品説明に、素材や制作工程、使い心地、サイズ感が書かれているか。写真で質感や着用イメージが伝わっているか。ギフトにしやすい雰囲気があるか。ショップカードやロゴ入りの袋など、買ったあとに思い出してもらえる接点があるか。
価格が高いのではなく、価格の理由が伝わっていないだけ、ということもあります。
特にネット販売では、お客様は作品に触れられません。写真と文章だけで判断します。イベントなら会話で補えることも、minneやCreema、BASEではページ上に置いておく必要があります。
値下げは強い手段ですが、一度下げると戻すのが難しくなります。まずは見せ方、説明、商品構成を整えてからでも遅くありません。
比較するときの思考プロセス
他の作家の価格を見て不安になったときは、頭の中で一度立ち止まってみてください。
「安い。私も下げなきゃ」で終わらせず、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- その作品は本当に自分の作品と同じ条件か
- 材料、サイズ、制作時間、販売場所は近いか
- その価格で自分が作り続けても利益は残るか
- 自分の作品の価値はページやブースで伝わっているか
- 値下げ以外に見直せる部分はあるか
この順番で見ると、相手の価格に飲み込まれにくくなります。
比較は、自分を責めるためにするものではありません。自分の価格を調整する材料を集めるためのものです。
自分の価格に戻ってくる
ハンドメイド販売では、他の作家の値段が気になる日があって当然です。SNSを見ても、イベントに出ても、検索結果を見ても、比較のきっかけはたくさんあります。
大切なのは、最後に自分の価格へ戻ってくることです。
自分は何を作っているのか。誰に届けたいのか。どれくらいの時間をかけているのか。どの販売場所で、どれくらい利益を残したいのか。
そこを見ずに相場だけへ寄せてしまうと、売れても苦しい価格になってしまいます。
不安になったときは、他の作家の価格を閉じて、自分の数字と向き合う時間を少しだけ作ってみてください。価格はメンタルだけで決めるものではなく、材料費、時間、手数料、届け方を組み合わせて考えるものです。
自分の作品価格を一度整理したいときは、ねだんナビの価格診断ページで、原価や制作時間をもとに無理のない価格を確認できます。
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